(なんとかしなきゃ…!)

何かヴェインに隙をつくる作戦がないか、セレイアは必死で考えをめぐらす。

だが、焦れているのはセレイアだけではないようだった。

ヴェインが、少し苛立ったような声をあげた。

「…なんで、なかなか死んでくれないわけ?
いやだなあ、君がそんなに抵抗するなら、こうしちゃうけど?」

ヴェインはそう言うと、槍をどこかへ投げつけた。

すさまじい力と勢いのついたその槍の行く先を目で追って――

セレイアは背筋が凍った。

槍の向かう先には、霧虫と戦っている、ディセルの背中があったから。

ディセルは、気づいていない。

「ディセル―――!!」

セレイアは絶叫した。

青幻獣の速度では間に合わない。

そう瞬間的に判断したのかなんなのか、自分でもわからない。

ただ、気が付いたら、青幻獣の背中から、飛び降りていた。