セレイアが突進によりわずかに体のバランスを崩したのを、ヴェインは見逃してくれなかった。

彼女の喉めがけて、ヴェインはすばやく槍を放つ。

確実にセレイアの命を奪おうというのだ。

セレイアは反射的にかわそうとしたが、まだ体のバランスを崩していた。

救ってくれたのは青幻獣だった。

ぐんと下降し、槍をかわす。

何も指示していないのにもかかわらず、である。

「…ありがとう!!」

しかし安心しているひまなどない。

ヴェインからの容赦ない攻撃は続く。

ヴェインは一気に距離をつめてきた。そしてセレイアの心臓めがけて力いっぱい槍を繰り出す。セレイアはそれを横薙ぎに払い、なんとか軌道を逸らせた。

防戦一方になってしまうのには、わけがある。

ヴェインの動きは速いだけでなく、まったく隙がないのだ。

このような強敵と戦うのははじめてだった。

前回中庭で戦った時よりも、確実に相手の動きが速くなっている。

それだけ今回は、本気で攻めてきているのだろう。

青幻獣が力を貸してくれていてもなお、旗色が悪いといわざるをえない。