「フリム…相談に乗ってほしいことがあるの」
「はい、どうぞ」
セレイアはフリムヴェーラの隣に腰掛けた。
舞い落ちる白い花びら。名前の分からぬ小ぶりな花弁の花が、美しい。
「私…本当は最終試練の前に、逃げ出すつもりでいたのよ。
私は今もトリステアの姫巫女だし、女王になんてなるわけにはいかないから。でも……この試練は、受ける者の心を見極める試練なのだと聞いたわ。
だったら、逃げてばかりいていいのかって、思ったの…」
姫巫女なのにこんなことを言って、失望されてしまうだろうか。
そう思ってちらりとフリムの方を見ると、彼女は優しく微笑んでいた。
「セレイア様がそう思ったのなら、きっと逃げない方がいいのですわ。
女王としての資質というのは、きっと、姫巫女としての資質にも言い換えられるものではないでしょうか。
試練を受けることは、セレイア様が立派な姫巫女であることの証にもなるかも知れませんわ」
「………」
姫巫女として、予言を聞く力を持たぬ引け目を、ずっと感じてきた。
ここで試練に出ることは、姫巫女としての力の証明にも、なるのだろうか。予言を聞く力を、持たなくとも。
―けれど。
「でもフリム、もし女王に選ばれちゃったら、私、どうすればいいの?」
不安げに問いかけるセレイアに、フリムは静かな声音で言った。
「女王におなりなさい」
「………え?」
「はい、どうぞ」
セレイアはフリムヴェーラの隣に腰掛けた。
舞い落ちる白い花びら。名前の分からぬ小ぶりな花弁の花が、美しい。
「私…本当は最終試練の前に、逃げ出すつもりでいたのよ。
私は今もトリステアの姫巫女だし、女王になんてなるわけにはいかないから。でも……この試練は、受ける者の心を見極める試練なのだと聞いたわ。
だったら、逃げてばかりいていいのかって、思ったの…」
姫巫女なのにこんなことを言って、失望されてしまうだろうか。
そう思ってちらりとフリムの方を見ると、彼女は優しく微笑んでいた。
「セレイア様がそう思ったのなら、きっと逃げない方がいいのですわ。
女王としての資質というのは、きっと、姫巫女としての資質にも言い換えられるものではないでしょうか。
試練を受けることは、セレイア様が立派な姫巫女であることの証にもなるかも知れませんわ」
「………」
姫巫女として、予言を聞く力を持たぬ引け目を、ずっと感じてきた。
ここで試練に出ることは、姫巫女としての力の証明にも、なるのだろうか。予言を聞く力を、持たなくとも。
―けれど。
「でもフリム、もし女王に選ばれちゃったら、私、どうすればいいの?」
不安げに問いかけるセレイアに、フリムは静かな声音で言った。
「女王におなりなさい」
「………え?」