麗雪神話~青銀の王国~

いつの間にか二人は空中庭園までやってきていた。

花の咲き乱れる庭園の中央まで来て、ディセルはやっと足を止めた。

「ディセル、どういうつもり? 痛いじゃない」

セレイアがそう言うと、ディセルは腕をはなして振り返った。

鋭いまなざしに、息をのむ。

―こんな顔をする人だっただろうか。

「君こそ、どういうつもり」

やがて静かに、ディセルは訊ねてきた。

「騎士団長セレスシャルとは、どういう仲なの。
まさか、彼のことを好きに……」

真剣な顔で見当違いなことを言われて、セレイアはどう返すべきか迷った。

自分がセレスを好きになる? そんなことはありえない。出会いからして最悪だった男だ。それに自分にはヴァルクスがいる。ありえない。

けれど思った通りのことを、言えなかった。

ディセルが、いつもの優しい笑顔を浮かべてくれないから…。

気が付くと喧嘩腰にこう答えていた。

「だったら、どうなのよ。
そっちこそ、シルフェとずいぶん楽しそうね。婚約者だって、レインスから聞いたわ」

ディセルはわずかに狼狽した顔を見せた。

慌てたように、何か言おうとする。

けれどセレイアはそれをぴしゃりと遮った。

「いい。何も聞きたくない」

―今度こそ謝ろう。そう思っていたのに、どうして自分はこんな態度をとってしまうのだろう。