麗雪神話~青銀の王国~

急に誰かに腕をつかまれ、セレイアは驚いて唇に乗せた微笑みを消した。

目の前には、ディセルがいた。

「…ディセル」

「…………」

ディセルは何も言わず、そのままずんずんと歩き出す。

セレイアはその力に引きずられる形になった。

「ディセル? ちょ、ちょっと、待ってよ、どこに―――」

セレイアの抗議など、まったく彼の耳には入っていないようだ。

ディセルはセレイアを連れて賑わう広間を出て、廊下を曲がり、まだ歩き続けた。

まさかこの土壇場で自分を連れて逃げるつもりだろうかと思う。

けれどすぐに思い直した。そんなことをしたらすぐに捕まってしまう。それに、ハルキュオネたちの顔をつぶすことになってしまう。

そんなことを考えながらも、目の前で銀の髪がさらりと揺れるのを見て、セレイアは思わず見とれた。

もう何日も何日も、この距離に焦がれていた気がする…。

掴まれた腕が熱い。