麗雪神話~青銀の王国~

一部始終を見ていたディセルは、愕然としていた。

今日のセレイアはたとえようもなく美しかった。こんな美しい姫君は、どこをさがしても見当たらないと思うくらいに。

そんな彼女が壁際でうつむいているのを、ずっと見つめていた。誰も踊りに誘わずに、彼女に声をかける機会をうかがっていた。

けれど、最近彼女に避けられていることには気が付いていたから、どうしても勇気が出なかった。

そこへ、あの騎士団長セレスシャルがセレイアのもとへと料理を持ってやってきた。

二人は何か話し、そして―

彼女が笑った。

心から打ち解けたような笑みに見えた。

そして二人は連れ立って中央へ出て行き、踊りはじめた。

セレイアは舞踏会に出はしたけれど、踊る気はないのだと思って少し安心していたのに。

よりにもよってあのセレスシャルと踊るなんて。

しかもその踊りは完璧で、こんなセレイアは初めて見た。

彼女は美しく、セレスは凛々しく、二人はお似合いに見えた。

曲が終わるころ、セレスが何かセレイアの耳元でささやき、それを受けてセレイアがぱっと頬を染めていた。照れているように、ディセルには見えた。

セレイアは微笑んで、何かセレスに言っていた。

(ど…ういう、こと)

ディセルの胸を満たしているのは、どうしようもない焦りだった。

以前セレスに迫られていたときは、セレイアははっきりといやがっているように見えた。あれから何があったら、こんなにも親密そうになるというのだろう。

(まさか、セレイア…)

恐ろしい想像に、ディセルはいてもたってもいられなくなった。

勇気がないとか言っている場合ではない。

ディセルは力を込めて歩き出すと、まっすぐセレイアのもとに向かった。