麗雪神話~青銀の王国~

翌日の夕刻。

セレイアはもうすっかり辟易していた。

朝から支度の多いこと多いこと。

体を清め、体のサイズに合うドレスを見繕い、着付け。髪には熱鏝(ねつごて)を当ててウェーブをほどこし、丁寧に結い上げ、真珠の飾りを散りばめる。

夕刻になってやっとさきほど、支度が終わったところだ。

パレードの時を上回る支度の長さだった。

最近の記憶としては身軽な服装で旅ばかりしているかんじだったから、こんなふうに徹底的に着飾るのは久しぶりな気がして、なんだか窮屈な感じがするのだ。

けれど苦労に見合うだけの姿にはなったのではと、鏡を見て思う。

ふんわりとしたシフォンの真紅のドレスは一級品で、散りばめられた真珠が身動きするたびきらきらと光る。これで舞えば、腕にかけたショールと共にふわりと風をまとい、たいへん優雅に見えるだろう。

セレイアも年頃の乙女。着飾るのが嫌いなはずがない。

(ディセル、ちょっとはきれいって、思ってくれるかな)

そんなことをぼんやりと思った。けれど、すぐに思い直す。

(ディセルの方がきれいに決まってるわ。……シルフェも)

自分の考えに、自分で落ち込んだ。