翌朝。

セレイアは割と苦手な裁縫に一晩かけて取り組み、なんとかフリムからもらったお守りと似たようなお守りを縫い上げることができた。

寝る間も惜しんで縫っている間に、だいぶ気持ちはすっきりした。

ディセルがどんなに胸を痛めてくれていたか、それを思えば、昨日の怒りも頷ける。喧嘩するようなことじゃなかったと思う。一言心配かけてごめんなさいと言えたら、きっとだいぶ違っていただろう。

それをやり直すつもりで、誠心誠意、お守りを縫った。

(これで大丈夫)

噂に聞いたところによると、トリステアの要人たちはここから反対側に位置する客殿に滞在中とのことだった。

監視の騎士たちの存在が気になるところだが、そこまで行くことが許されるのかどうか、まずは行ってみようか。

セレイアが部屋でお守りを握り締めてそう考えていたところに、来客があった。

「セレイア、おはよう!」

さわやかな笑顔を見せたのは、シルフェだった。

「あら、もしかして寝不足? 寝不足はお肌の大敵よ~」

相変わらずこの人は…。自分が次代の女王に選ばれてしまうかもしれないという時に、どうしてこんなに余裕いっぱいでいられるのだろう。