ーーーーーこれで第45回入学式を終わります。一同起立。
私はハッとして立ち上がる。
「礼。」
礼をすまし、体育館の真ん中を歩いて廊下に出た。
すると神田が私の方に走り寄ってきた。
「終わったー!長かったね!ってかマジで自己紹介やなんですけど。」
「そうだね。私、入学式中なんて言うか考えてたー!」
「えっうち何も考えてなかったよ!ずるーい!」
神田は笑いながら私の肩を叩く。
「ずるいってなんだしー!」
中学時代の自分は今私が神田と対等に喋っていることなど夢にも思っていなかっただろう。
でも今は神田に対して近所の子供と話しているような感覚しかしない。
中学生って高校生に比べると本当ガキなんだな。全然怖くない。
「だってずるいじゃん!ほのかちゃんも一緒に考えてよー。」
えぇ、めんどくさー。知らないよそんな。初対面の人に言う?
「好きな食べ物とかは?あと部活なに入るとか…好きな人とか?」
私が冗談っぽく言うと神田は
「えっやだー!なに言ってんの!」
「いーじゃん、好きなタイプとかさ、私はタクヒロ!」
神田はよく教室でEXI○Eのタクヒロのことを好きだと友達と騒いでいた。
これは絶対食いつくでしょ。
神田を見るとあからさまに目をキラキラ輝かせて私の手を取る。
「本当にー!?うちもめっっちゃくちゃ好きなの!!えっうそ!ほのかちゃんヤバイね!後でもっと話そうよ!!」
えっ!どうしよう。詳しくは知らないし、どちらかといえば興味がない。
神田は思いのほか熱意があったようで興奮気味だ。
後でちゃんと調べておかなきゃな…。

