さっきまで僕にどんなこと言われたのかも覚えていないかのように、彼女は話しかけてくる。 この、いかにもアホそうな顔で、満面の笑みで僕を追い回す。付け回る。ガン見する。 最初の頃はそりゃあ、毎日が苦痛で苦痛で仕方がなかったが、最近、僕はあることに気づいた。 「田中さん、口にご飯がついてる」 え!?といいながらあわてて袖で口を拭う彼女。 そう、この人をからかうのは、なかなかに面白いのだ。