【叶恵side】

「……ってなワケ。俺、こんな顔立ちの
せいでさ、犯されかけたこともあった
んだよ」

ハハ、と力なく笑う雪島くん。

一方であたしは……。

「雪島くぅぅぅぅん……っ…!」

「うわ、何、どしたの」

ドバドバと涙を流しておりました……。

「そんな……大変な目っ……目に遭って
いたなんっ、てっ……!」

ああ、多分、雪島くんはドン引きしてん
だろうなぁ……。

でも、ダメだ、涙が止まらない。

だって、あたしも……。

だけどっ!!

「でもあたしはそんなこと思わない!」

ゴシゴシと目をこする。

「白い肌も、紅い唇も、黒い髪も、
あたしにとっては、憧れるもので……
白雪姫みたいなあなたに、ずっと
ずっと憧れてた」

ヤバい、どんどん言葉が漏れ出して
くる。

でも、もういい。言ってやる!

「だけど、それ以上に、優しくて、
カッコよくて、王子様みたいなあなた
にも憧れてたんだ」

「…………白馬、さん」

「そのカッコよさは、昔苦しんだあなた
が努力して創り上げたものだと思う
んだけど……」

それって、それってさ……、

「それって、とっても素敵なことだと
思わない?」

いつの間にか、雨が止んでた。

なんとも都合の良いタイミングだ。