今日の授業は全て終わり、みんな部活に
行ったり家に帰ったりしている。

あたしは清美委員会の当番活動で、
ゴミ捨てに行っていた。

____ポツ…ポツ…ザァー

「…………雨…?」

嘘…でしょ?

ゴミ収集所は屋外にある。

イコール……、

「この中を…走ってかなきゃならん
のか……?」

のおぉぉぉぉぉ〜〜……!

……でも、ここでウロウロしてたって
しょうがない。

「よし!ここは覚悟を決めて…!」

ブレザーを脱ぐ!裸足になる!

そして……!

「あれ、何やってんの」

「ぴゃっっ!」

聞き慣れた声、この人は……。

「雪島くん!!」

「……何、雨の中で修行?」

「違います!清美委員のお仕事で、
あそこの小屋にゴミを捨てに行かな
きゃいけなくて……」

「……ふ〜、ん」

すると、雪島くんは前に出てきて、
ゴミ箱を手に持った。

「……まさか」

____パシャッ!!

やっぱりぃぃぃ!!

えぇ!?雪島く、そんな、行っちゃった
よぉぉぉ!?

と、思ったのも束の間。

雪島くんは、空になったゴミ箱を持って
あっという間に戻ってきたのだ。

「……はい」

ずぶ濡れになって、ゴミ箱を差し出して
くる雪島くん。

なんか……スゴく……

「かっ、カッコいい……!」

「……はっ?」

「ありがとうございます!雪島くん、
カッコいいですね!さすが王子、
男の中の男です!」

すると、雪島くんはフイッと顔を
背けてしまった。

「……王子って、何」

「えっ?あっ、えへへ……」

雪島くんのこと、白雪王子って呼んでる
のバレちゃった。

「……カッコいい、って、初めて
言われた」

「え?」

階段に座る雪島くん。

あたしもその隣に座る。

しばらくして、雪島くんの口が重く
動き始めた。

その口から出たのは、あたしの知らない
雪島くんの過去のことだった。