「雪島くん!次の移動教室、いっしょに
行きませんか!」

「……………」

スゴい冷たそうな目であたしを見てき ますね……。

でも、そんなのであたしはひるまない!

「次は化学ですよ!雪島くんの苦手な
かーがーく!」

「……なんで俺が化学苦手だって
知ってんの」

「いやぁ〜、雪島くんのことを知るため
誕生日から住所、果てはこないだの
テストの点数までミッチリ調べまし
たから!」

「……ストーカー」

「はい!それだけが取り柄です!」

そのとき。

____ポン

「ストーカーが取り柄なのは……
君の将来が少し心配ですね」

「……は、わ……!」

雪島くんの手が、あたしの頭に乗って
いる。

頭押さえられて顔が見れないけど……

絶対今、雪島くん優しい顔してる!

初めて会ったときみたいに、白雪姫
みたいに笑ってる!

見たいぃぃぃ〜〜……!

「……早く行かないと、遅刻する」

パッと手を離されてしまった。

雪島くんの顔は、前を向いていて
見えない。

でも、耳がほんのりと赤い。

それを見て、あたしはなぜか満足感と…

ほんのちょっとの、ドキドキを覚えた。