2日目。空は青、快晴なり。

昨日から一夜明け、今日はいよいよ
2年の演劇だ。

ヤバい、心臓がバックバック鳴ってる。

ドキドキ、なんてもんじゃないよ…。

「カナちゃん、おはよ!」

ニコニコしながら話しかけてくる琴音
ちゃん。

「……おはよう」

「すごい緊張してるね……。大丈夫?」

「ちょっとだけ大丈夫…後の大半は
大丈夫じゃない」

「ははは……」

苦笑いされちゃった……。

ああ、ダメだ、何か思考を逸らさなく
ちゃ持たないよ…!

えーと、えーと……、

あっ!!

「琴音ちゃん、おめでとう!」

「えっ!何が!?」

「え?だって、小川くんと付き合うこと
になっ」

「きゃあぁぁぁ!やめて言わないでくだ
さいお願いしますーー!!」

もんのスゴい否定されたんですけど。

実は琴音ちゃん、昨日の体育祭で何か
あったらしく、晴れて小川くんと付き
合うことになったらしい。

本人には全力否定されたけどね!

借り物競争のとき、何か黄色い悲鳴が
聞こえたから、それかな?

本人には全力否定されたけどね!!

「うぅ…だってこんなの初めてで…」

こんなに天使で、女神で、可愛いのに、
彼氏ができたのは初めてなのだとか。

意外にウブなんだねぇ…そこも可愛い。

「明日の自由行動は小川くんと?」

尋ねると、琴音ちゃんはほっぺを赤く
して、コックリ頷いた。

「へえ、じゃあ初デートだ」

「デートなんかじゃ……カナちゃん
だって、雪島くんと行くでしょう?」

……え?

それは…考えてもいなかった。

「どうだろうなぁ……」

「え?2人って付き合ってるでしょう?
恋人でしょう?」

「違うよ!確かに好きだけど……」

そこまで言いかけて、首筋をなぞる。

そっか、あたしと雪島くんって、恋人
じゃないのか。

でも、この“痕”は恋人同士で付ける
もので……。

……………あれ?

「……大変だ、琴音ちゃん」

「何が?」

「あたし、雪島くんと恋人同士に
なんなきゃいけないや」