白雪王子と白馬のヒメ

「っゲホッ……うおぇっ……!」

ちょ、回し手さん……。

練習のとき、そんなに早く、縄回して
なかったよね……?

おかげで途中、足つりそうになったわ。

さすがにみんなも、バテバテだ。

第1種目、大縄跳び。

跳んだ数を計算して、順位を割り出す。

どこよりも多く跳んだクラスが優勝。

こちらの優勝賞品は、学食無料券らしいですが……、

狙ってるのは、主に男子。

だって、女子のほとんど弁当派だし?

そのせいで、妙に熱が入って、このザマ
ですよまったく!

「あぁー……死ぬ、死にそう……」

次の競技まで少し間がある。

ちょっと、あの木陰に行こう。

「あ、涼しい……天国……」

ちょうど草場だし、座ろっと。

「よいしょ……」

____フニュッ

「っわあぁぁぁぁぁっっっ!?」

なになになに何なに何!?!?

あたし何踏んだ!?

「……うるさいなぁ、誰……あ」

…………えっ。

「ゆき、雪島くん……?」

「叶恵か。なんだびっくりした」

っ……ヤバい、目ぇ合わせられない。

「……叶恵?」

雪島くんは、不思議そうな顔をして
あたしの顔を覗き込んでくるけど。

あたしはその度に、逸らしてしまう。

「叶恵、ちょっと」

雪島くんの語勢が少し強くなる。

きっと不審に思っているだろう。

当たり前だ、不審なことをやってるん
だから。

「…ごめん…ちょっと今、目、合わせ
らんない……」

思ったことを正直に吐露すると、雪島
くんの動きがピタリと止まった。

そして。

「……ふぅん?そっか、それなら」

あの白い手が、あたしの顔を包み込んで
その主の顔へ向けさせた。

「……無理矢理合わせてもらうけど」

ちっ……近い!

鼻の頭くっつきそう……!

「今日の叶恵、なんか変。知らぬ間に
仕事任されたり、挙動不審になっ
たりしてさ」

吐息が顔にかかる。

それだけでなんだか、ドキドキする。

でも、それ以上に、さっきのサトニーの
言葉が胸に突き刺さって抜けない。

そう思ったら、また涙が出てくる。

「か、なえ……?」

パッと離れる雪島くんの手。

「だ、大丈夫?痛かった?」

あぁ……こんなに優しい人が、あんな
こと言うワケない。

ない、のに。

「うぇぇぇぇ……雪島く、ごめ、ん、
ごめんなさい〜……」

どうしようもなく、涙が出てくる。

「叶恵、落ち着いて。どうしたの?」

「っく、ぜん、ぶ、あたし、のせ、っい
だ、て……ヒック、きい、て」

「うん、いいよ無理に話さなくて。
落ち着いてから、ゆっくり話して?」

背中をさすられる。

それに安心して、あたしはまた嗚咽を
零して泣いてしまった。