白雪王子と白馬のヒメ

____バタン

着いたのは、近くの科学資料室。

放課後に来る人は滅多にいない場所。

「……で、話?」

「うん、話。でも、こんな人のいない
場所に来なくても良かったんじゃ?」

なんでこんなとこ、連れて来られたん
だろう……。

「……いいんだよ、ここなら」

すると、雪島くんはあたしをキュッと
抱きしめた。

「こういうこと、できるし」

ぬあっ……!

ヤバい、心臓がバクバクしてきた!

「ゆ、ゆき、雪島くっ……!」

「…………かった」

勝った?

「……良かった、王子になれて」

「………………」

にゃあぁぁぁぁ!?!?

なっ、なっ、何なのこの人最近!

よくくっつくし、デレるし!

あ、くっつくのはあたしもか。

って、納得してる場合じゃない!

「雪島くん!どうしたんですかあなた
最近!」

「んー…?白馬さんの近くにいるとね、
安心するんだよー…」

うぉい!寝るなよ!?

声がフワフワしてますけど、寝なんで
くださいね!?

「……白馬さん」

「はい?」

すると雪島くんは、あたしの耳に顔を
寄せて、

「………叶恵」

……………。

「んっっ!?!?」

何今の何今の何今の!

下の名前で呼ばれたー……!?

「雪島くっ……な、何、」

「慎也、って呼んでよ」

「なっ……なっ……!」

この人こんな攻め攻めな感じだった!?

いや、一時は存在さえも消しかけてた
人だし……。

それにしても、何なのその艶かしい声。

あたしホントに、この人のこと白雪姫にそっくりだなんて思ってたの……?

「叶恵、俺のこと呼んで」

「っそ、そんなの……!」

「呼んでくれたら離してあげる」

うーわー、そういう展開来ましたよ。

嫌でも呼ばなきゃダメじゃん!

違う、嫌じゃないけど!

好きだから、嫌なんじゃないけど!

でも……!

「…………ごめん」

……へ?

スルッと、雪島くんの腕が離れる。

「……ごめん、自惚れと独占欲が、なん
か暴走してたかも」

もう1度謝る雪島くんの目は、またなんだか憂いを帯びていて。

「こんなの……嫌に決まってる。強引
なのとか、嫌いでしょ?白馬さん」

あ、名前呼び変わってる……。

違う、嫌じゃない……嫌いじゃない……
嫌いじゃないから……、

「そんな目ぇ、しないでよ……」

「………………」

あなたのそういう弱いとこ、ちゃんと
知ってるよ?

でも、王子になってくれたんでしょう?

あたしのこと、渡したくないって、思ってくれてたんでしょう?

ねえ……雪島くん……。

「…………好き、だよ」

あたしの気持ち、ちょっとでも良いから
伝わってほしいな。

「雪島くんのこと、好きだよ。嫌なんか
じゃないよ。だから……っ」

そこまで言ったとき。

また、あの白い腕が、あたしを包んで
くれた。

今度は、少しの熱を帯びて。

「……やっと、出逢えた。

愛しい、お姫様」