【叶恵side】

「じゃ、雪島くん頼むね!」

そう言って、ルーム長は雪島くんの肩を力強く叩いた。

何を頼むかというと……もちろん、王子役の件だ。

あたしはルーム長たちとも協議した結果雪島くんを王子役に選んだ。

え?好きだから選んだんだろうって?

んなワケないでしょーーがぁぁぁ!!!

あたしはそんな生半可な理由で貴重な
王子役を渡さない!

ルーム長も納得してたし!

アレが良いんだと!あのキャラで良い
んだと!

だから黙らっしゃい!

「琴音さん!」

「わぁ、わかったよ!あんまり怒鳴らな
いでくださいスミマセンデシタ!」

まったくもー……。

「そういうカナちゃんも、雪島くんの
演技に対してスゴい顔赤かったよ?」

っ……ぐうの音も出ない……。

「ふふふー。でも良かったね、雪島くん
になって」

「……小川くんにならなくて良かった
とか思ってる?」

ちょっと皮肉混じりにそう言うと、琴音ちゃんは苦笑いして言った。

「……正直、思ってるかなぁ。さっきも
ちょっとヤキモチ妬いちゃってたかも
しんない」

あ、やっぱり。

「でもね、それ以上に、カナちゃんが
雪島くんとやれるようになって良かっ
たって気持ちの方が大きいの」

……………!

「ホントだよ?」

琴音ちゃんはニコッと笑った。

ほあぁぁ……あなた人良過ぎ!

天使か!いや女神だな!

「……なら、期待に応えられるように
頑張るよ!」

「ふふっ、応援してるよー、白雪姫」

今日のオーディションで、琴音ちゃんと
スゴく仲良くなれた気がする。

よーし……頑張るぞ!