「ああ、お義母さま、お義母さま…」
泣き崩れる“私”。
止めどなく溢れる涙が、頬を濡らす。
「なぜ?どうして…?私は何を誤った
の……?」
しばらく涙を流す私。
…………あれ?
「……ゆき、し、まくん…?」
もう、王子が登場するタイミングなのに
足音や声が聞こえない。
どうしたんだろう……。
演技に集中しなきゃいけないから、顔は上げられない。
だから、音でしか王子の存在を感じられない。
すると、
「ねーえ」
フッと、足元に影ができた。
顔を覆う指の隙間から、そっと下を
見やると、覗き込む王子がいた。
「っきゃあっ!?」
____バタン
ったぁ〜〜……!
思わずのけぞって、尻餅をついて
しまった。
「何してたの?ですか?」
手を差し出しながら、私に問う王子。
お義母さまのことを思い出して、また
涙が溢れてくる。
「私…お義母さまの逆鱗に触れてしまっ
たのです。それ故、この森に逃げて
きたのです」
「……そう、ですか」
興味の無さそうな王子の声。
何を、考えているの……?
「……ねえ、いつまでその堅苦しい言葉
続けてるつもり?」
「…………えっ?」
見上げると、不機嫌そうな顔の王子が
いる。
ゆっくりと近づいてきて、手を振り上げ
てきた。
っ……………!
「………わん」
……………!?
何…?
王子の指が、変に絡まっている。
まあ、どこかしら子犬っぽいけど……。
「へっ…えっ…何、ですか。それ?」
「……指遊び。ばあやに教えてもらって
いたんだ。面白いでしょ?」
そして、彼はもう1度、ワンと物真似を
して見せた。
真剣な表情で……。
「………ぷっ、くくく……っ…!」
自然と私は、顔がほころんでしまう。
「面白い、ね……ふふっ」
「あ、ほら」
すると王子は、私の顔をその大きな手で
包み込んだ。
「笑ってる顔の方が、可愛いよ」
そう言う王子も、柔らかく微笑んだ。
心臓がトクンと音を立てる。
何だろう……くすぐったい。
柔らかい。
この人と一緒に、いたいよ。
「………あ、の」
「……ハッ!か、カット!」
ルーム長の声で、我に返った。
「雪島くん……す、スゴいね……!」
みんなが次々と拍手を送る。
うん……スゴい。
みんなが思う王子と、全然違う王子を
演じてみせたんだ。
「カナちゃんっ!」
「あ、琴音ちゃん……」
「ふふっ、顔、真っ赤だよ?」
へぅっ!?
____ペト
ホントだ……熱い……赤い……!
もう……ヤダ。
雪島くんのあの微笑み!
もしあれが、“白雪姫”じゃなくて、
“白馬 叶恵”に向けられていたら……。
……あたしはどこまで、彼のことを好きになっちゃえばいいんだろう?
泣き崩れる“私”。
止めどなく溢れる涙が、頬を濡らす。
「なぜ?どうして…?私は何を誤った
の……?」
しばらく涙を流す私。
…………あれ?
「……ゆき、し、まくん…?」
もう、王子が登場するタイミングなのに
足音や声が聞こえない。
どうしたんだろう……。
演技に集中しなきゃいけないから、顔は上げられない。
だから、音でしか王子の存在を感じられない。
すると、
「ねーえ」
フッと、足元に影ができた。
顔を覆う指の隙間から、そっと下を
見やると、覗き込む王子がいた。
「っきゃあっ!?」
____バタン
ったぁ〜〜……!
思わずのけぞって、尻餅をついて
しまった。
「何してたの?ですか?」
手を差し出しながら、私に問う王子。
お義母さまのことを思い出して、また
涙が溢れてくる。
「私…お義母さまの逆鱗に触れてしまっ
たのです。それ故、この森に逃げて
きたのです」
「……そう、ですか」
興味の無さそうな王子の声。
何を、考えているの……?
「……ねえ、いつまでその堅苦しい言葉
続けてるつもり?」
「…………えっ?」
見上げると、不機嫌そうな顔の王子が
いる。
ゆっくりと近づいてきて、手を振り上げ
てきた。
っ……………!
「………わん」
……………!?
何…?
王子の指が、変に絡まっている。
まあ、どこかしら子犬っぽいけど……。
「へっ…えっ…何、ですか。それ?」
「……指遊び。ばあやに教えてもらって
いたんだ。面白いでしょ?」
そして、彼はもう1度、ワンと物真似を
して見せた。
真剣な表情で……。
「………ぷっ、くくく……っ…!」
自然と私は、顔がほころんでしまう。
「面白い、ね……ふふっ」
「あ、ほら」
すると王子は、私の顔をその大きな手で
包み込んだ。
「笑ってる顔の方が、可愛いよ」
そう言う王子も、柔らかく微笑んだ。
心臓がトクンと音を立てる。
何だろう……くすぐったい。
柔らかい。
この人と一緒に、いたいよ。
「………あ、の」
「……ハッ!か、カット!」
ルーム長の声で、我に返った。
「雪島くん……す、スゴいね……!」
みんなが次々と拍手を送る。
うん……スゴい。
みんなが思う王子と、全然違う王子を
演じてみせたんだ。
「カナちゃんっ!」
「あ、琴音ちゃん……」
「ふふっ、顔、真っ赤だよ?」
へぅっ!?
____ペト
ホントだ……熱い……赤い……!
もう……ヤダ。
雪島くんのあの微笑み!
もしあれが、“白雪姫”じゃなくて、
“白馬 叶恵”に向けられていたら……。
……あたしはどこまで、彼のことを好きになっちゃえばいいんだろう?
