【慎也side】

彼女の隣は、居心地が良かった。

気づいたのはつい最近。

でも実は、ずっと前……白馬さんに話しかけたときから、思っていたのかもしれ
ない。

あの雨の日、俺は彼女に過去の全てを 打ち明けた。

きっと、同情や怒りが伝わってくるん
だろうなと思っていたら……、

彼女の感情は、そんな苦々しいものではなかった。

『それって、とっても素敵なことだと
思わない?』

キラキラした瞳で言われた言葉。

それは、俺の目まで明るくさせた。

いつの間にか雨は止み、視界もさっき
より晴れたように見えた。

なんだか泣きそうになって、俺は思わず彼女を抱きしめた。

とても温かかった。

彼女の手も声も瞳も……。

彼女の隣は、居心地が良かった。

気づいたのは、ほんの数分前のことだ。