それに、わたしが悠真を構えば『ハルちゃんは優しいね』と、拓真さんが誉めてくれた。
周囲にも『遥香ちゃんって面倒見がよくて、えらいわね』という評価に繋がった。
なにより、顔を真っ赤にして涙をこぼす悠真の表情は、ちょっとツボった。胸がキュンとときめいた。
正直、拓真さんを泣かせた気分になった。
悠真が小さい頃は、顔立ちが今よりもっと近かったし。
不覚にも、あれが性の目覚めだったように思う。
いつか拓真さんの全てを知りたい。
あの指先が、わたしの髪を撫でるだけじゃ足りない。
子供心にある憧れが、一気に女の欲求へと変貌した。
そこからはもう、することは決まっていた。
勉強に修学旅行、受験や進路、就職。
人生の先輩という名目にかこつけて、何でも拓真さんに相談した。彼も邪険にすることなく、どれも丁寧に教えてくれた。
ホントは、そうする内に既成事実……もとい。親密な関係になることを期待してたけど、サッパリだった。
だが、わたしは諦めない。拓真さんと結婚するまでは。

