将生のやんわりした口調は、手を焼くワガママな弟に対するそれだ。
普段は冷静沈着と評されるほど落ち着き払っている悠真クンに、そんな意外すぎる一面があったとは。
もちろん、本人はかなりの不本意らしく、一気に表情を険しくさせた。
「あんなもの、食わなくても生きていける」
「それ駄目だから。めちゃ偏りがちな食生活してる子供の言い分だから。
よーし、今日はニンジンたっぷりのコンソメスープにオムライスにするぞー。もちろん、チキンライスにグリンピース山ほど入れて。サラダは、レタスとキュウリとピーマンだ」
「……拷問か」
「誰が、そんなことすんだよ。全部、食えって言ってねーだろ」
少しでも口にしろという命令なんだろう。
まんま、食生活を気にする兄のごとく譲るつもりはないらしい。
さぁ、悠真クンはどうする?
ここで、突っぱねちゃうこともできるけど。
「…………グリンピース三粒で手を打ってやる」
「それで譲歩してるつもりなのか。つか、それ以外のグリンピース避けるの面倒くさくね?」
いかん。もう我慢できない。
悠真クンほどのルックスで、オムライスを食べてる姿なんて。

