賭けてもいい。
 拓真さんに嫌われる可能性があるかぎり、ヤツは絶対に黙秘を貫く。


 例え、隠し続けることでさらなる信用を失墜させたとしても。



 だからこその発言だったのに、悠真の表情は芳しくない。
 わたしの発言を聞いた直後から、血の気が引いていく。
 顔つきも疑うように眉根を寄せ、明らかにショックを受けた反応だった。


 ワケわからんな。
 あんただって同意見のはずじゃないのか。


 とはいえ、ヤツのことは心底どうでもいい。


 口外しないという確約は取りつけたので、さっさとシャワー浴びて帰ろう。
 多少、遅刻しても雑賀なら適当に処理してくれる。


 ワイシャツをするりと脱いで、悠真にかけるように放った。

 彼は無反応のまま微動だにしない。


 さっさとバスルームへ入っていく。
 シャワーの温度を調節しながら、記憶をさらう。

 昨夜の出来事は、相手を拓真さんと置き替えて妄想するチャンス。





 ……

 …………

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 やっぱり、何も覚えてない。



 うーん。すこぶる残念だ。