探求者たちの苦悩





 雑賀クンが、もっと特別にするであろう恋人に嫉妬してるのか。



 我ながら、変わり身の早さに呆れる。


 だから、わざと答えにくいことを訊いてみた。


「……重くない?」

「いいえ。桜沢さんと比べれば、全然……」


 研究室のドアを開けた、雑賀クンが急に口を噤む。

 そりゃあ、この状況で他の女と比べたら面白くないし、変に勘ぐってしまうけど。

 個人的には別の点が気になった。


「……したの?」

「えぇ、まぁ……呑んだ時とか、たまに」


 ごめん。愚問だったね。あの娘は、酒が入るとその場で眠りこけますから。

 居酒屋なんかだとお店の迷惑になるから、誰かが連れて帰らないと。


「大変だったでしょー?」

「うーん。体重は気にならないんですけど、背中で暴れられるとちょっと……」


 あの酒乱癖め。
 どんだけおいしい思いしてるんだか。


 胸中で恨み言を洩らすも、見慣れた廊下を揺られながら眺めていると、罪悪感のようなものがのしかかってきた。



「……ごめんね」

「? 何が、ですか?」