恋なんてしない

りょーと付き合って2日目。
あたしはいつも通り学校で莉子と話していた。

「ねー!瑛未!森川綾と付き合ってんの!?」

び…びっくりした…
クラスの友達が話しかけてきた。

「う…うん」

なんでこんなこと聞くんだろう?

「森川綾の元カノ知ってるでしょ?」

「え…美樹でしょ?」

「うん。じゃあ、森川綾が美樹ちゃん妊娠させたのは?」

え…に…妊娠…?
そんなこと聞いてないよ…?

「あ、チャイム鳴るから戻ろ!」

頭の中が真っ白になった。
あたしはどーすればいいの?
りょーと別れるべきなのか、それとも話してくれるのを待つのか。
自分から聞くのか…
あたしは授業中そればかり考えていた。


よし!決めた。
りょーに聞く。それでより戻すのか聞こう。


「ねぇ瑛未ちゃん」

帰り道、山根に呼び止められた。

「なに?」

「今話せる?」


あたし達は近くの公園に行った。
何言われるんだろう?
たぶんりょーのことだろうけど…

「りょーと付き合ってんの?」

あ、やっぱり…

「うん」

「美樹のこと知っとる?お前さ本気でりょーのこと好きなの?」

美樹のことってやっぱ…

「妊娠のことは知ってる…りょーのことも好き。本気で」

「お前はいーの?りょーの子供がおるんだよ?」

いーの?って言われたら…

「そりゃ嫌だよ…だからってどーすることもできんじゃん。美樹におろしてって言うわけにもいかんし、あたしは何にもできない…」

「……」

「……」

2人の間に沈黙が続く。
ブーブー
あ、LINEだ。
開くとりょーだった。

【今どこにおる?】

なんでだろう?

【公園だけど】

すぐに返事が来た。

【今から行くけん】

え…?なんで?

山根がいること言ってないし。

「りょーは俺が呼んだ。一緒にいること言ったから。あいつとちゃんと話しな?無理そうだったら俺から話すし」

意外に優しいんだ。

「ありがとう」


りょー遅いな…

あ、来たかも。チャリだったんだ。
…後ろの人…誰…?女の人だ。
山根の知ってる人かな?
山根の方を見ると目があった。

「「誰?」」

あ、山根も知らないんだ。
「よっ!あー!!まじで重たかった!」

「もー、りょーしばくよ~?(笑)」

すっごい楽しそう。

2人乗りしてきて女の人がチャリから降りて煙草を吸い始めた。

で、りょーも…

りょーが吸ったたばこを女の人にあげて吸ってる。

間接だよね…?

「大丈夫…?」

山根が心配してくれた。

「え…!?あ、うん。なんとか…」

うそ。全然大丈夫なんかじゃない。
「ねぇねぇ!瑛未ちゃんだよね!?めっちゃ可愛い!天使みたい!!あ、あたし知華(ちか)だけん」

「え、全然可愛くないです!知華さんの方が可愛いです!」

お世辞なんかじゃない。
本当に可愛い!
ちょっとチャラいけど。

「あれ!?こうきじゃん!」

ん?『こうき』?

なんかまたチャラい人きた。しかも男の人って…

「おー知華じゃん!なにやってんの?あ、りょーと佳樹もいんじゃん」

「「こうきくん!!」」

「あ、何って名前?」

「え…」

急に話しかけられたから…

「瑛未ちゃんだよ!2人とも同じ学校でしょ?」

なんか見たことある…?2年生だった気がする。

「コーラス部の人ですか?」

「おう。掃除場所どこ?」

掃除場所…?

「2Fのトイレ掃除です」

「あ~、俺、西原幸生(にしはらこうき)だけん。えっと…橘瑛未ちゃんだったよね?」

あたしは頷いた。

「りょー、ちょっと話がある。」

山根がりょーを呼び出した。

あたしはどーすればいいんだろ?

「瑛未ちゃん。りょーの事好き?」

知華さんに話しかけられた。

「はい。好きです」

「俺帰るわ。あ、瑛未ちゃん、LINE教えて」

「うちも教えて!」

あたしは2人にQRコードを見せた。

「じゃーな」

「じゃーねー!瑛未ちゃん、ガールズトークしよっか」

「はい!」

なんか色々聞かれるんだろうーな。

案の定…

「りょーのどこが好き?美樹ちゃんのことも…」

やっぱり…

「全部が好きです。美樹の事はりょーに聞こうと思ったんだけど勇気がなくて…」

知華さんは頷きながらあたしの話を聞いていた。

「ちょっと待っててね」

「はい」

知華さんがりょーと山根のところに行った。

あ、りょーがこっちに来た。

「なに?」

え…?なにが…?

「知華が瑛未から話があるって言われたんだけど」

知華さんを見たら『がんばれ』って口パクで言ってるし…

「あ、うん。美樹のこと…より戻すの?」

「戻さんよ。あいつにはおろせって言っといた」

「そっか…」

よかった。より戻さなくて…

「瑛未ちゃん、聞けた?」

あたしは大きく頷いた。

「良かった!相談とかいっぱい聞くからね?」

知華さん…

「ありがとうございます!」

あたし達は1時間ぐらい話して帰った。


次の日は学校で山根とりょーのこと知華さんのことを話していた。

放課後。りょーにLINEしたらゲームセンターにいるって連絡がきた。

あたしは山根と一緒に行ったけどりょーいないし!!

結局山根は帰って、あたしはブラブラと歩いていた。

誰か暇な人いないかな?

あ、西原先輩…
送ってみようかな?

【暇です!(笑)】

既読無視されそう…


既読ついた。

【今どこにいんの?】

あ、返事きた。

えっと…ここどこなんだろう。たしか…

【分かりません!岸中の近くです】

岸中ってわかるよね…?

【そこで待っといて】

え!?まさか来る気?
とりあえず行こ。


岸中に着いて10分ぐらい待ってたら自転車をこいでる人が来た。

あ、西原先輩だ…

「お前さ、こんな時間に何やってんの?」

聞かれると思った。

「家に帰りたくなかったんで!」

「はぁ~」

た、ため息つかれた!

「なんかごめんなさい…」

「とりあえず図書館行くぞ」

「はい」

あたし達は図書館の外のベンチに座った。

もう12時だから図書館はあいてるわけがないからね。

「……」

「……」

話すことがない…

「あ、そういえば先輩の下の名前ってなんだっけ?…あ、ため口ごめんなさい!!」

「ため口でいいよ(笑)幸せに生きるって漢字」

「『幸』せに『生』きる…あ、『こうせい』か!」

「『こうき』だよ!(笑)」

『こうき』か覚えとこ。

「じゃあ『こうちゃん』だね(笑)」

「『こうちゃん』とか俺の嫌いな奴のあだ名だわ」

じゃあ、呼んだら怒るかもね

「あー、眠たくなってきた」

あ、知華さんにも【暇です(笑)】送っとこ!

あたしはベンチに寝転がった。

先輩、すっごいがたい良くて厳ついけど、あんがい優しいんだな…。

「こーちゃん!!」

げ、睨まれた…

「お前な~」

と、とりあえず謝っとこ

「ご、ごめんなさい(笑)」

笑っちゃったよ!

「犯すよ!?」

「先輩が言うと怖いわ」

「まぢセフレほしいわ~」

え!?
りょーもセフレとかいるよね…?

「なってあげよーか?」

「まぢで!?」

りょーと同じ反応だ…

「うん、いいよ。って言ってもあたし今日は生理だから無理だけどね!」

「じゃあさ、フェラして!勃ってきた(笑)」

はー!あたし苦手だし!!

「むーりー!」

「お願い!これどーすんのー!?」

どーすんのー!?って言われても苦手なんだもん…

「あたし下手だけん!」

「大丈夫だけん」

はー…もうしょーがないなぁ

「分かった。下手でも我慢してよね?」

「おう!ありがと」


あー…終わった~

「ホントにありがとう!お前下手じゃなくね?」

「下手だから!」

そーいえば知華さんのから返事きてるかな?

あ、きてる!

【今甲舘大学の近くだからきて~】

「先輩、知華さんところ行くわ」

「あー、じゃあ途中まで送るわ」


橋のところまで送ってもらった。


「じゃーな、ポリにつかまんなよ!」

「うん、先輩もね!」

まーもうこの時間だからポリはいないでしょ。

今は、朝の3時30分。
補導解除は4時だからあと30分。

30分見つかんなかったら大丈夫でしょ。

【大学まで着いたんですけどどこにいればいいですか?】

誰もいない…

【迎えに行くけんそこで待っといて!】

【りょーかいです!】っと!

え、待って?

あれって…!!