珍しくしんしんと雪が降った。まるであの時のようだった。私は地面にしゃがみこんだ。ただ、積もっていく雪を見つめていた。地面には何も描かれていなかった。

「なんでもないはずなのよ。なんでこんな辛いのかも、なんでこんなに泣きたいのかも、わからないけれど。なんでもないはずなの。」

一人小さく呟いた。雪はもう止んでしまっていた。

(結婚なんてしないと思ってた。)

きっと君は覚えていない。初めて私に告白してくれたのは君だったこと。あれはほんの冗談だったけれど、私はあの時、断らなかったらどうなってたか、考えてしまってたの。もしかしたら、あの時断らなかったら、今の君の隣は私だったのかな、なんて。