あれから恋は結局できていない。唯一告白してくれた人も、私が思わずフってしまったのだ。なんとなく、本当に理由もなく、この人じゃない、と思った。

いざ会場に向かってみると、思いの外たくさんの人が来ていた。私の知り合いも居たし、もちろん知らない人もいた。彼は友人に恵まれていたのかもしれないな、と思った。

タキシードを着て気合い十分といった雰囲気の彼が出てきた。

(変わってない)

私は彼の幸せそうな笑顔に、少しだけ寂しさを感じた。見えた八重歯と長めの前髪がそのまんまだった。だけどまるで舞台にあがっているかのようにかっこ良く見えたのだ。別の世界の人のように感じてしまったのだ。

新婦はとても可愛らしい人だった。いかにも彼が好きそうな感じだった。彼は昔、声フェチだと言っていたから、もしかしたらとても綺麗な声をしているのかもしれない、と思った。でも、それだけだった。