「これはこうだから、この車のエンジンは…」

今私は、先輩の車話を聞いている

先輩は車が大大大好きで、将来は車の設計士になると言っているほどで、その辺の浅知識の車の会社の社員よりも、多くの知識を持っていた

先輩が車好きだといつ聞いたかなんて覚えていないほど、先輩はいつも車車といっていた

先輩は常に「車ノート」と言うものを制服の内ポケットにいれている

車ノートは先輩が描いた、たくさん車の絵が並んでいる

どの車の細かい部分まで見落とさずに描いていて、とても上手だ

「ってわけ!!!わかった!?」

「全くわかりません」

私は笑顔でそう言った

「マジかよー」

先輩もなぜか笑っていた

近くにいた乃亜先輩も笑いながら、

「わかるほうがすごいって」

と言った

「でも先輩本当にすごいですね〜。めちゃ詳しいじゃないですか!」

「俺車大好きだから!」

先輩の車への愛で、先輩=車という式が成り立つようだった

そして、私は心のどこかで

「その車への愛を、少し私に向けてくれないかな」

そう思っていた