でもそんな黒木リサは相変わらず本を読んでいて男の声に反応しない。顔すらもあげない。
ただ、何もないかのように本を読んでいる。
「なんだよー、お高くまとまってんじゃねーよ」
金髪の男は黒木リサの細い腕を掴んだ。
黒木リサは予想外のことだったのか、ようやく目線を上げて、あからさまに顔をしかめた。
それにしても、こんなあからさまなナンパ、周りは誰も止めない。
聞こえてるだろ、どうして止めないんだ。
周りは音楽を聞いていたり、話していたり、携帯を弄っていたりさまざまだ。
周りの薄情さが信じられなかった。
みんな困っている人のことは関係ないのかよ。
「今から遊ぼうぜ?お嬢さん「ゃ…やめろ」
