彼女と目が合った。 気づかれないように見ていたつもりだったけど、気づかれた。 俺は動揺して、小走りで体育館を出た。 体育館を出た俺はしゃがみこむ。 「何やってんだ…俺は」 動揺しすぎ、だっさ… ただ目が合っただけなのに。 …彼女と目が合ったのは、初めてだった。 これまでは彼女とすれ違っても決して目が合わなかった。 彼女は常にまっすぐどこかを見ていて、凛としてて… 決して目線を交わすことはなかったのに。