「おーい!ビンタ女!早くしねぇと終わらねぇぞ?」
水澤先生の言葉に我に返る。
「ビンタ女はやめて下さい!」
いつまで根に持ってんのよ!
水澤先生が床に散らかってるものを拾ってるから他のことをした方が効率いいよね?
私はロッカーの中に入っていたプラスチックのバケツを出した。
「水澤先生?」
「あ?」
「私、拭き掃除するからバケツに水汲んで来ますね」
「あぁ」
私はバケツを持って、資料室のドアから廊下に出た。
シーンと静まり返った廊下。
微かに吹奏楽部が練習している楽器の音が聴こえてくる。
部活、まだやってるんだ。
私も部活に行きたかったなぁ……。



