「親に絶縁されて、お父さんと結婚して、裕紀乃が生まれて……。裕紀乃の顔を見た時に産んで良かったと思った。愛しくてたまらなかった」
「うん……」
「でも裕紀乃が4歳になる前に、彼の浮気が発覚して離婚して、親には絶縁されてたから頼ることも出来なくて、裕紀乃に不憫な思いをさせたらいけない。だから母子家庭はって言われないように必死に働いたわ。だから裕紀乃の学校の行事には出れなくて、逆に裕紀乃に不憫な思いをさせてしまったわね」
お母さんはそう言って私を見ると少し悲しそうに笑った。
「三者面談の時に龍くんに再会して、あの頃の思いが蘇ってきて……。年甲斐もなく好きになって……。裕紀乃も龍くんが好きなんだと思ったら、娘に対して変な感情が生まれて、龍くんに少しでも近付こうと必死になって、裕紀乃にも意地悪して、でも龍くんは私を見てくれなかった……」
「お母さん……」
「そりゃそうよね。私は龍くんを裏切ったんだから。憎まれて当然よね」
お母さんはそう言ってクスリと笑った。
「お母さんは、まだ水澤先生が好き?」
私の質問にお母さんはゆっくりと首を左右に振った。
「吹っ切れた」
「そう……」
「裕紀乃は?」
「私はまだ好き……」
「そっか……」
お母さんはそう言って優しく微笑んだ。



