七海先輩と別れたあと、私は家に帰って荷造りをしていた。
キャリーバッグに服や下着を詰め込み、家にあった段ボール箱に本や参考書など七海先輩のアパートに送るものを詰め込んだ。
「裕紀乃?」
名前を呼ばれ、声のする方に向くとドアのところにお母さんが立っていた。
いつの間に帰って来たの?
全く気付かなかった。
「何?」
「どこか行くの?」
部屋を見てそう言ったんだろう。
「私、この家を出るから。高校の時の先輩のアパートにお世話になることにしたの。バイトもするしお母さんには迷惑かけないから安心して」
「そう……」
明日、急に家を出ると言った娘に対して普通の親なら止めるんだろうな。
理由も聞くかもしれない。
でも私のお母さんはそう一言言っただけで、止めもせず理由も聞かない。
「他に何かある?」
「ううん」
「じゃあ、あっちに行って」
私はお母さんにそう言って、お母さんに背を向けると荷造りの続きを始めた。
「あとでリビングに来て?」
お母さんはそう言って部屋をあとにした。



