「実はね……」
七海先輩はそう言って、カバンから1枚のメモ用紙を出してきた。
それをテーブルに置く。
そこには住所が書かれていた。
「これ、水澤先生の家の住所」
「えっ?」
「担当してる子に聞いたの。担当してる子は水澤先生に年賀状を送りたいからって聞いたんだって。水澤先生、カッコイイから人気あるみたいで、その子の他にも住所を聞いてる子もいたみたいだから、その子だけが特別ってわけでもなさそうだったよ」
「そうなんですね」
「生徒には人気あるみたいだけど、結婚もしてなくて彼女もいないみたい。で、その子に水澤先生は私が通っていた高校にもいたことを話して、久しぶりに手紙を送りたいと言ったら住所を教えてくれたの」
テーブルに置かれたメモ用紙が欲しい。
ここに書かれた住所に水澤先生がいる。
もう会えないと思っていた水澤先生に……。
「裕紀乃の会うのが怖い気持ちもわかるけど、会わずに後悔するより会って後悔した方がいいと思う。もし1人で会いに行くのが怖かったら私と瑞葵もついて行くし」
「七海先輩……」
「そのメモは裕紀乃にあげるから、今日ゆっくり考えて答えを出したらいいよ」
七海先輩はそう言って残りのコーヒーを飲み干した。
私はメモを手に取って、そっと紙を撫でた。



