「翠の大切なものを奪おうと思った」
水澤先生の目から涙が流れていた。
「風の噂で翠が女の子を産んだって聞いて、その子を奪ってしまおと思ったんだ……。大切なものを奪われた俺の気持ちを翠にもわかってもらいたかったんだ……」
それが私……。
「先生?先生は、私がお母さんの子供だとわかって、あの学校に来たの?」
「いや……。あの学校に育休の先生の代わりに行ったのは偶然。最初は大倉が翠の子供だと知らなかった。三者面談で大倉が翠の子供だと初めて知ったんだ。神様は本当にいるんだと思ったよ」
水澤先生はそう言って力なく笑った。
「三者面談で久しぶりに会って、翠が大倉に対する態度を見ても復讐の気持ちは変わらなかった」
「龍くん?」
お母さんが水澤先生の側に行く。
「私、龍くんが好きだよ。だから、もうこんなことやめて結婚しよ?」
お母さん?なに言って……。
「私は龍くんが好き。三者面談で久しぶりに会ってから私の頭の中は龍くんでいっぱいなの」
お母さんはそう言って、水澤先生の手を握ろうとした。



