「なんで龍くんの家にいるのよ!」
「落ち着けよ!」
「なんで、なんで、なんで!」
気が狂ったようなお母さんの声。
「ちょっ!翠!」
ドカドカと廊下を歩く音が聞こえ、鬼の形相をしたお母さんがリビングに入って来た。
私を見つめたまま、こっちに向かって来る。
恐怖で動かない体。
こんなお母さん、初めて見た。
お母さんは私の前に立つと、手を大きく振り上げた。
殴られる!
咄嗟にそう判断した私は目をギュッと閉じ、手で顔をかばった。
………………えっ?
ゆっくり目を開けると、振り下ろそうとしたお母さんの手を水澤先生が掴んでいた。



