「先生?どうぞ?」
「あ?あぁ、ありがとう」
水澤先生はスマホに目を落としたままマグカップを持ちコーヒーを飲む。
コーヒーが喉を流れていくたびに、喉仏が上下してそれだけでドキドキしてしまう。
「先生?」
「ん?」
「先生は私のこと名前で呼んでくれないの?」
付き合って1ヶ月。
いまだに名前じゃなくて今までと同じように名字で呼ぶ水澤先生。
彼氏が出来たら名前で呼んで欲しいという思いがあって。
私は思いきって水澤先生にそう聞いてみた。
「名前で呼んで欲しいの?」
スマホをテーブルの上に画面を下にした水澤先生はそう言ってニヤリと笑った。
私は無言で頷く。
「俺さぁ、アホだから名前で呼んじゃうと学校でも名前で呼びそうで。だから名前で呼ぶのは卒業まで待って?」
あぁ、確かに学校で名前で呼ばれたら困るかも。
学校の先生に間違って思わず“お母さん!”と呼んじゃうみたいな。
「わかりました」
私はそう言って水澤先生に笑って見せた。



