「なんでアンタが龍くんと一緒にいるわけ?」
静かな声でそう言ったお母さんの声は震えていて、顔は怒りに満ちていた。
「なんでって……」
水澤先生のアパートに行ったと言ったら、ますます怒るだろうな。
だから言わない。
「アンタ自分の立場わかってる?こんな公の場に来て、龍くんに迷惑だって考えなかった?しかも制服で」
「そんなこと考える余裕なかったし……」
「もういいわ。裕紀乃じゃ役に立たないから帰っていいわよ」
お母さんは私を邪魔者を見るような目で見ながらそう言うと椅子に座った。
「なにしてるの?早く帰りなさい」
「嫌だ」
私はそう言って首を左右に振った。
「翠?来たんだ。来なくていいって言ったのに」
診察を終えて診察室から出て来た水澤先生はお母さんを見るとそう言って私たちのところに来た。
「心配だから来るに決まってるでしょ!」
お母さんは私には絶対に見せない笑顔でそう言った。
「で、どうだった?」
「インフルではなかった。風邪だって」
それを聞いたお母さんは安堵の表情を見せる。
インフルじゃなくて良かった。



