水澤先生は椅子に座っているってことは、まだ呼ばれてないってことか……。
「ゴメンね。大丈夫?」
「あぁ、用事は終わった?」
「うん」
その時、再びスマホがブルブル震えだした。
画面を見ると、お母さんの文字が表示されている。
さっきこちらから切ったから、掛け直してきたんだ。
「診察まで時間かかりそうだし、外でタバコ吸ってくる」
水澤先生はそう言って椅子から立ち上がった。
「えっ?ちょ、大丈夫なんですか?大人しく座っていた方が……」
「大丈夫大丈夫。あ、大倉?スマホ貸して?」
「えっ?」
「親から電話なんだろ?」
水澤先生は“翠”と言わず“親”という言葉を使った。
「大倉の担任として、お母さんには俺から事情を話しとくから」
「でも……」
「大丈夫だから」
水澤先生はそう言って笑顔を見せた。



