「先生?体温計とか薬はないんですか?」
トイレから戻ってきた水澤先生にそう聞いてみた。
「体温計はあるけど、薬はどうだったかな……」
水澤先生は引き出しから体温計を取り出した。
「薬がなかったよ」
「とりあえず熱を測って下さい。薬は買って来ますから」
水澤先生がソファーに座り、体温計を脇に挟む。
「薬はいいから。ただの寝不足だから。寝てれば治るし。俺、昔から寝不足になると熱が出る体質で」
だからって薬も飲まずに寝てるだけなんて。
その時、体温計から測り終わった電子音が聞こえてきた。
それを水澤先生が見る。
「何度でした?」
そう聞いた私に水澤先生は体温計を差し出してきた。
「えっ?」
39度8分って……。
「ちょっと、凄い高熱じゃないですか!」
「自分でもビックリした」
水澤先生はそう言ってクスクス笑っていた。
笑い事じゃないよ。



