「じゃーん!」
放課後の音楽室。
吹奏楽部の練習を終えて、親友の坂本瑞葵(サカモト ミズキ)と片付けをしていたら田中七海(タナカ ナナミ)先輩が机の上に何かを出して来た。
七海先輩が机の上に置いたものを見る。
「◯◯遊園地のチケットじゃないですか!どうしたんですか?」
◯◯遊園地は絶叫マシンが豊富である人気のある遊園地。
一度、行ってみたいと思っていた遊園地で、確か明日からお化け屋敷が始まるとテレビのCMでやってたっけ?
「親が知り合いからもらって、私にくれたんだ」
七海先輩は椅子に座りながらそう言った。
長くて綺麗な足を組む七海先輩。
女の私から見てもドキッとする仕草。
七海先輩は一つ上の2年生。
綺麗で優しくて、私の憧れの先輩。
「裕紀乃と瑞葵と私と3人で行かない?明日から夏休みだし部活も休みだし」
裕紀乃とは私の名前。
大倉裕紀乃(オオクラ ユキノ)
15歳、高校1年生。
今年、この高校に入学して吹奏楽部に入った。
担当の楽器は第一希望だったサックス。
瑞葵はフルートで、七海先輩はオーボエ。
担当の楽器はそれぞれ違うけど仲が良くて、部活では3人でいる事が多かった。