帰ろうかな……。
そう思って玄関から離れようとした時、玄関の鍵を開ける音が聞こえた。
“ドクン”と胸が高鳴る。
玄関を開けた水澤先生は驚いた顔をしていた。
そりゃ、そうだろう。
アポなしで突然来たんだから。
グレーのスウェットを着てメガネをかけてる水澤先生。
「大倉……」
「来ちゃった」
私はそう言って笑った。
でも水澤先生の表情は険しくて、歓迎されてないことがわかる。
「帰りなさい……」
やっぱり迷惑だったんだ。
って、あれ?
水澤先生の顔、なんだか赤いような……。
それに、しんどそうに息をしてる。
「先生?体調、悪いの?」
風邪でもひいたのかな?
「最近、忙しくて。ただの寝不足だから大丈夫だから」
「でも……」
ただの寝不足で顔が赤くなったりする?
「今日は帰りなさい」
水澤先生はそう言うと“ゲホゲホ”と咳き込んだ。
やっぱり、ただの寝不足じゃないじゃん。



