「明日はクリスマスだし、部活もないし、プレゼントを持って水澤先生んちに行って、さりげなく聞いちゃうのは?」
「あっ!それいい!」
「でしょ?これ食べたらクリスマスプレゼントを見に行きましょうよ!」
「いいねぇ!」
七海先輩と瑞葵はそんな会話で盛り上がってる。
「ちょ、ちょっと!待って!」
私はランチを食べていた手を止めた。
他人事だと思って、そんな簡単に言わないでよ。
「水澤先生の家に突然行って、そんなこと聞くなんて出来ないよ……」
「じゃあ、裕紀乃はこのままでいいわけ?」
「それは……」
「だって、幼なじみだった水澤先生と裕紀乃のお母さんは16、7年ぶりに再会したんだよ?しかも結婚の約束までしてた相手と。裕紀乃はお母さんの言葉を聞いて水澤先生が好きな気持ちがあると思ったんでしょ?」
七海先輩の言葉に無言でコクンと頷いた。
「水澤先生だって、ずっと忘れていた人に再会して、あの頃の事を思い出して、裕紀乃のお母さんへの気持ちが再熱するかもしれないじゃん」
「えっ?」
「そんなの嫌でしょ?」
「嫌、です……」
水澤先生とお母さんが、なんて考えたくもない。
そんなの絶対に嫌だ。



