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スマホのLINEの受信音が鳴った。
七海先輩からだ。
『瑞葵とゲート側のショップで待ってる』
『すみません!すぐ行きます!』
私は七海先輩にLINEを送り、ソファーから立ち上がった。
「非常出口、あっちだから」
お化け……じゃなくて、お化け役が扉を指差してそう言った。
「あ、あの……ゲートまで連れて行って、もらっていいですか?」
多分、日が落ちて外は真っ暗で人もいないと思う。
遊園地の1番端っこにあるお化け屋敷からゲートまで1人で行くなんて嫌だった。
「はぁ?俺さぁ、この後ここの見回りと点検、片付けが待ってんだわ。お前に構ってる暇なんてないっつーの」
そんなぁ……。
でも、ここにいつまでもいるわけにもいかず。
「わかりました。ご迷惑をおかけしました」
私はお化け役に頭を下げた。
「気を付けてな。あっ!そうだ」
扉を開けようとした私の手が止まった。
「ここ、出るって噂あるから」
「はい?」
「本物の幽霊」
お化け役はそう言ってクスリと笑った。
うそ……。
目を見開いてお化け役を見る。
マジで?
てか、なんで帰る時になって言うかなぁ……。
しかも私1人だし、外は暗いし。



