「何?」
私は振り向くことなくリビングのドアに向かってそう言った。
ガラスがはめ込まれたドア。
お母さんの姿はガラス越しに見えるけど、表情まではわからない。
「龍くんのこと、好き?」
「はっ?」
お母さんの言葉に振り向いた私。
その時のお母さんの表情は意地悪そうな笑顔を浮かべていた。
今、私たちの関係は母親と娘という親子でなく、まるで女と女。
「龍くんのこと好き?」
お母さんは再びそう聞いてきた。
普通の親子関係なら、ここで好きと言える。
でも今は親子でなく女と女の関係。
私はどう言ったらいいのかわからなかった。



