目を見開いたまま固まる私。
笑顔のお化け。
お化けはタバコを灰皿に押し付けると、ゆっくり椅子から立ち上がった。
そして私の方にゆっくりと近付いてくる。
「……ゴメンなさい……ゴメンなさい……ゴメン、なさい。成仏して下さい」
私は手で顔を覆いながらそうブツブツと呟いた。
「…………ぷっ」
大爆笑する声が聞こえる。
顔を覆っていた手を離すと、目の前で大爆笑しているお化け。
「俺、死んでねぇし」
「えっ?でも……」
「生身の人間だし」
「はい?」
「お前さぁ、ここ遊園地のお化け屋敷だろ?本物の幽霊なんているわけねぇじゃん」
お化けはそう言いながらも大爆笑を続ける。
あ、そ、そっか……。
私は体の力が抜け、ヘラヘラと変な笑いが込み上げてきた。



