職員室に入ると、残っているのは吉川先生だけだった。
他の先生は帰ったのか職員室にはいなかった。
俺は自分のデスクに持っていたものを置いて、電話に出た。
「はい、水澤です」
『あ、龍ちゃん?私、翠だけど……』
「お世話になっております。何かありましたか?」
吉川先生がいる手前、いつものように生徒の保護者と通話するように電話に出た。
『何かありました?って』
翠はそう言ってクスクス笑ってる。
『久しぶりの再会を祝して、これから会えない?』
甘えたような声を出す翠。
「あ、申し訳ありません……。えぇ、あ、はい……」
『ちょっと龍ちゃん?どうしたの?何?』
本当は普通に断ればいいのに、吉川先生がいる手前、そう出来なかった。
「では、失礼します」
『ちょ、龍ちゃん?』
俺は翠が何か言う前に電話を切った。



