「待て待て」
水澤先生は教室から出て、私の腕をガッチリ掴んだ。
胸がドクンと跳ね上がる。
何で、水澤先生は平気なの?
あんなことがあったのに……。
これが子供と大人の違いなの?
自分では大人だと思ってたけど、まだまだ子供で、いちいち反応しちゃう自分にムカつく。
「もしかしたら来るかもしれねぇだろ?」
「来ませんよ」
「なぜ?」
「あの人は、そういう人だから。私より仕事が大事、学校の行事なんて来たことないし」
「でも、来るかもしれねぇじゃん」
水澤先生は腕時計を見た。
「18時まで待ってみようか。で、もし来なかったら俺から電話してみるよ」
「だから!」
「廊下は寒いから教室で待っとく?」
水澤先生は私の言葉を遮ってそう言うと、そのまま私の腕を引っ張って教室に入った。



