「…………汚い」
部屋に入った瞬間に思わずそんな言葉が出た。
ソファーの上には脱ぎっぱなしなのか洗濯物なのかわからない服が散乱していて、テーブルの上にはビールの空き缶やら書類やらが転がってるし、床にも書類らしきものが散乱している。
「仕方ないだろ?仕事が忙しくて片付ける暇なかったんだし……。それにさっき散らかってるって言ったろ?」
水澤先生は床に散らかった物を拾い上げながらそう言った。
「散らかってるけどって言うのは挨拶みたいなもんだと思って……。まさか本当に散らかってるとは……」
「突っ立ってないで座ったら?」
「どこにですか?」
「その辺、適当に」
「片付け、私も手伝いますよ。2人でやったら早いでしょ?」
私はカバンをソファーに置いた。
「いや、お客さんにそんなことしてもらうわけには……」
「資料室の掃除の時には散々こき使ったくせに」
私はそう言って、クスリと笑った。
「まだ根に持ってんの?ジュース奢ってやったろ?」
「別に根に持ってませんよ?私、キッチンの片付けしますね」
私はそう言ってキッチンに入った。
先生、こんなものばかり食べて大丈夫?
そう思いたくなるくらいキッチンの流しにはビールやチューハイの空き缶に、カップラーメンの空き容器しかなかった。



