君の瞳に、恋をした。

コンコン。



いつものようにドアをノックし、中へと入る。



そこには、白いベットに横たわり、パジャマを着ている1人の男の子の姿がある。



電車で会った彼女さんの、双子のお兄さんの姿……。



高橋 朔(たかはし さく)。



朔くんと私しかいないこの部屋には、冷たい電子音と、朔くんの呼吸の音しか聞こえてこない。



「朔くん……。」



呼んでも、朔くんから返事が帰ってくることなど無い。



だって朔くんは、もう何ヶ月もずっと目を覚ましてないんだから。



お医者さんにまで、見放されそうになってしまっていて、このままじゃほんとうに植物状態だっていわれていた。



(お願いだから見放さないで……。)



お医者さんに見放されてしまったら、誰が朔くんを救うことができるのだろうか。



朔くんの怪我ばかりが治っていって、今はもうあのときも傷跡は残っていないだろう。