君の瞳に、恋をした。

(うん、きっと気のせい。)



私は、そう自分の都合の良いように考え自分に言い聞かせた。



そして、すでに日常になっていた彼のことを自然と目が追ってしまう。



(あ、もうこんなこともやめたほうがいいんだよね……。)



彼女さんのことをあまり見ることはできないけれど、可愛らしい人だなとは思った。



(そもそも、かっこいい彼に彼女さんがいても全く不思議じゃないじゃないか。)



頭が次第にこんがらがっていく。



彼は彼女さんが居るからか、いつもと違い椅子に座っていた。



ドアの前にはたっていないことに私は少しだけ、慣れなかった。



(私が慣れてどうすんだか……。)



ふと気づくと、彼女さんの方が私を見ていた。



そこまでもう見ていなかったのに見られて、なんだか気まずくなる。



しかも、彼女さんの目は大きく見開かれていたから尚更。



(知り合いにいたっけ……?)



私は知らないふりをして、手元にある携帯に視線を落とした。



運悪く、目の前に座っている2人。



なぜか、痛いほど彼女さんのほうから視線が感じられた。